今回は、私たちのヴア・シャルムという劇団を１人でもたくさんの方に知っていただきたく、無料のPR公演という形をとらせていただきました。

無料の公演･･･それは、簡単な響きがあるのですが、私にとってはとても難しい決心でした。ただ無料にすればお客様が集まるわけではない

･･･お金よりも、大切な時間を割いてわざわざ会場に足を運ぶ･･･それが何より貴重なことだと、長い芸能生活から知っていた私には、人数が

把握できない無料公演は、むしろ怖い選択でした。それに、今までのシャルムの公演は、７０～８０人のお客様だったので、今回のような広く

立派な会場に怖気づく気持ちもありました。今回、素敵なご縁があり、江戸東京博物館のホールをお借りすることができたのですが、それで

も何日か悩みました。けれど、ホールに見学に行くたびに、こんな素敵なホールでお客様をお迎えできたら･･ゆったりとした椅子でご覧になっ

ていただけたら･･･そう思っているうちに、頑張ろうという気持ちが大きくなっていき、私たちの劇団のご来場予想人数の５倍の広さではありまし

たが、メンバー共に決心いたしました。

あの日から、それぞれが純粋な気持ちで一生懸命PR活動を続けてきました。その甲斐あって、当日はお客様の数ももちろんですが、素敵な

お客様たちにたくさんおいでいただけて本当に幸せを感じました。私たちのお芝居に、本当に静かに耳を傾けてくださったこと･･･驚くほどでした。

私は一番後ろで観ていたのですが、お客様が、一生懸命、作品を感じようとして下さってる姿勢を感じ、感無量でした。

だから、私は思いました。これからも頑張っていこうと。私たちが愛して止まない声のお芝居をこれからもみなさんに聴いていただきたい･･･

そして、一生懸命聴いてくださったお礼に、少しでも何かをプレゼントしたい････「今日、このシャルムの公演を観に来てよかった」･･･そう思って

いただけるように、これからも私たちは、目に見えない「声の魔法」を１つでも多く、手探りで探していかなければと思いました。そして、お客様と

一緒に、目に見えないはずの世界をしっかりと瞳に映して、まるでその世界がそこに存在するように感じられたら素敵だと･･そう思っています。

私たちに身体の中から生まれる、ほんの小さな声。

それが起こす奇跡を信じて、私たちヴア･シャルムは挑戦を続けます。

本当に、ありがとうございました★

ヴア･シャルム主宰　　高橋美紀